第三級アマチュア無線技士 受験記

2019年9月に第四級アマチュア無線技士(以下、四アマ)試験に合格し、同年11月に無線局免許状を取得し開局しました。開局にあわせてYAESU FT3DとALINCO DJ-G7を購入し、SOTA(Summits On The Air)を中心にアマチュア無線の運用を楽しんできました。

開局から約1年経ち、そろそろ次のステップに進もうと思い、まずは第三級アマチュア無線技士(以下、三アマ)試験を受けることにしました。

四アマと三アマの違い

四アマと三アマの操作範囲の違いを下表にまとめました。赤字で記載している箇所が大きな違いとなります。

四アマ 三アマ
周波数 21MHz以上または8MHz以下の周波数 18MHz以上または8MHz以下の周波数
※18MHz帯が使えるようになる。
出力 10W以下(21MHzから30MHzまで又は8MHz以下の周波数)
20W以下(30MHzを越える周波数)
50W以下
※50Wの出力が利用できるようになる。
その他 モールス符号による通信は不可 モールス符号による通信を行える。

両試験の難易度はほとんど変わりませんが、三アマの試験範囲には四アマの試験範囲に加えて国際法規とモールス符号が含まれます。この為、出題数も多くなり、試験時間も10分長くなり1時間10分となっています。

【第三級アマチュア無線技士 試験内容】

  • 法規:16問
  • 無線工学:14問
  • 試験時間:1時間10分
  • 合格基準:(法規)満点80点/合格点55点、(無線工学)満点70点/合格点45点

使用教材・勉強方法

初めての3級・4級アマチュア無線技士試験テキスト

初めての3級・4級アマチュア無線技士試験 テキスト

初めての3級・4級アマチュア無線技士試験 テキスト

  • 発売日: 2014/12/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

昨年の四アマ受験の経験から過去問中心の勉強が効果的と分かっていたのですが、将来的に2アマ1アマと上級試験に挑戦したいと思っていたので、この機会に無線工学の基礎を学習したいと考えていました。

この「初めての3級・4級アマチュア無線技士試験テキスト」は無線工学の基礎を分かりやすく解説しています。これまで色々な参考書を手に取りましたが、最も入門的で分かりやすい参考書だと思います。

とはいえ、工学分野の知識・素養がない私にとっては多くの用語・現象に馴染みがなく、出題範囲を一通り理解し覚えるのにとても苦労しました。

第3級ハム国試 要点マスター2020

第3級ハム国試 要点マスター2020 (HAM国家試験)

第3級ハム国試 要点マスター2020 (HAM国家試験)

上記の「初めての3級・4級アマチュア無線技士試験テキスト」はとても素晴らしい参考書でしたが、残念ながらこれだけで試験に合格するのは難しいと思います。

多くの国家試験と同様、三アマ試験においても最も効率的な勉強方法は過去問を解くことになります。四アマ試験でもお世話になった要点マスターを今回も利用しました。

Morse Mania: Learn Morse Code

前述した通り、三アマでは試験範囲にモールス符号が含まれます。SOTA(Summits On The Air)のコミュニティでは山頂からモールス通信(以下、CW)で海外との交信を楽しまれている様子をよく見かけます。いつか私もCWで遠距離交信に挑戦したいと思っていたので、試験にあわせてモールス符号を学習することにしました。

当初、試験対策として語呂合わせでモールス符号を覚えるつもりでした(合調法という)。ただ、この方法は手早く短期間に覚えられるというメリットがある反面、モールス符号を聞くたびに頭の中で語呂合わせを思い出す必要があるという余計なステップを踏む為、実践向きではないようです。

もう一つの代表的な学習方法が音感法と呼ばれるもので、モールス符号の音を何度も聞いて耳で覚えていきます。この方法は一通り覚えるのに時間がかかりますが、モールス符号音を聞けばダイレクトに文字に変換できるので実践を意識した学習方法だと思います。

将来的なCWの運用を意識していたので音感法で学習することにし、学習教材としてAndroidアプリの「Morse Mania」を利用しました。学習期間は1か月ほどでしたが、アルファベットと数字だけ何とか覚えて試験に臨みました(試験では記号は出題されないようです)。

試験当日

2020年10月31日(土)に日本無線協会本部で行われている当日受付試験で受験しました。”当日受付”とはいうものの、新型コロナウイルスの影響で定員80名に制限されており、事前の電話による予約が必要でした。

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日本無線協会本部を訪れるのは、昨年9月の四アマ試験以来だから1年ぶりです。

試験会場には2人用のテーブルが並んでいるのですが、このテーブルを1人で利用するように席が割り振られていました。

試験時間は1時間10分ですが、30分経過した時点で退出することができます。概ね事前に学習した過去問と同様の出題です。最後に見直しを行い30分が経過したので退出しました。いくつか確信の持てなかった問題を中心に答え合わせをしたところ、恐らく法規は満点、無線工学は1問間違いの結果でした。

当日受付試験はいつもでしたらその日の内に合否発表をしてくれるのですが、今回は新型コロナウイルスの影響で当日の合否発表はありませんでした。試験日から4日後に無線従事者国家試験結果通知書のハガキが届き、無事合格であることを確認できました。

試験から免許証受領までの時系列

日付 イベント 備考
10月31日 第三級アマチュア無線技士国家試験 受験(当日受付) 試験申請書代:120円
試験手数料:5,400円
11月4日 無線従事者国家試験結果通知書 受領
11月5日 無線従事者免許申請(郵送)
※2020年11月5日:追記
免許申請用紙:170円
取次料:350円
申請手数料:1,750円
払込み料金:203円
郵送費:178円
※返信用切手を含む
11月25日 無線従事者免許証 受領
※2020年11月25日:追記

今後の予定

これまでハンディ機で運用を楽しんできましたが、三アマ合格を機にICOM IC-705を購入して、HF帯でのSSBによる運用を始めたいと思っています。将来的にはCWやFT8にも挑戦しようと色々と構想を練っていますが、まずは一歩を踏み出すことができたと思います。

アマチュア無線やSOTA(Summits On The Air)はライフワークとして長く取り組みたいと思っており、知識を深める為に今後2アマ1アマと上級試験にも挑戦していこうと思っています。来年4月はIPA情報処理推進機構)のプロジェクトマネージャ試験を受験予定なので、二アマ試験の挑戦は2021年の8月か12月になりそうです。