在宅勤務が続く中、時間帯によっては自宅のインターネット回線の通信速度が極端に遅くなることが気になってきました。
みなさん、外出自粛で在宅ですよね。我が家もYouTubeやNetflixを見ていますが、インターネット回線が壊滅的な遅さになっています...。IPoEなり何らかの対策を取らないとね。 pic.twitter.com/GF1TtgHfTw
— komo (@kaname_networks) 2020年4月18日
NTT東日本が提供するフレッツ光回線を利用する場合、PPPoEという通信方式を利用します。このPPPoEを利用する場合、NTT局舎内にある網終端装置という設備に接続されるのですが、どうやら回線の輻輳が原因というよりは、この網終端装置の能力不足により通信速度が遅くなっているようです。
対策としては、原因となる網終端装置を経由しない通信方式を利用することが考えられます。具体的にはこれまでのPPPoEからIPoE(IP over Ethernet)と呼ばれる通信方式に変更します。IPoEでは混雑の原因となる網終端装置を経由せずにISPに接続されます。
一点、考慮すべきことがあります。IPoEはIPv6のサービスであるため、従来のIPv4で提供されているサービス(Webサイト)にアクセスできなくなってしまいます。この為、IPoE環境下でもIPv4を利用できるDS-Lite(Dual-Stack Lite)という技術も併せて利用する必要があります。
詳細については、下記サイトが参考になります。
NVR510の導入
IPoE + DS-Liteを利用するためには、同機能に対応したルータを用意する必要があります。対応機器は各社から発売されていますが、小型ONUやひかり電話に対応しているヤマハのNVR510を選びました。
NVR510が届いた!
— komo (@kaname_networks) 2020年4月22日
想定外の出費に少し凹んでいるが、早晩買うことになるモノだったと納得させている…。
週末にセットアップしよう。 pic.twitter.com/UYjlbCU6qj
IPoE + DS-Liteの利用には契約しているISPへの申し込みが必要になります。私はIIJmioひかりを利用しているのですが、会員専用ページから申し込み、1~2日後には利用できるようになりました。
NVR510 DS-Lite設定例
WebGUIからIPoEを含む基本的な設定は行えるのですが、DS-Liteについてはコマンドラインから設定する必要があります。設定例については下記のヤマハサイトで紹介されています。
ただ、NVR510に設定する場合は若干の修正が必要です。実際に設定したコンフィグの内、DS-Liteに該当する部分は下記の通りです。
・ひかり電話契約ありの場合(DHCPv6)
# NVR510 Rev.15.01.16 (Wed Mar 11 12:06:39 2020)# ip route default gateway tunnel 1 ipv6 route default gateway dhcp onu1 ip lan1 address 192.168.100.1/24 ipv6 prefix 1 dhcp-prefix@onu1::/64 ipv6 lan1 address dhcp-prefix@onu1::1/64 ipv6 lan1 rtadv send 1 o_flag=on ipv6 lan1 dhcp service server ipv6 onu1 dhcp service client ipv6 onu1 address dhcp ngn type onu1 ntt tunnel select 1 tunnel encapsulation ipip tunnel endpoint name gw.transix.jp fqdn tunnel enable 1 dhcp service server dhcp server rfc2131 compliant except remain-silent dhcp scope 1 192.168.100.2-192.168.100.191/24 dns server dhcp onu1
・ひかり電話契約なしの場合(RA) ※2020年5月25日追記
# NVR510 Rev.15.01.16 (Wed Mar 11 12:06:39 2020)# ip route default gateway tunnel 1 ip lan1 address 192.168.100.1/24 ipv6 prefix 1 ra-prefix@onu1::/64 ipv6 lan1 address ra-prefix@onu1::1/64 ipv6 lan1 rtadv send 1 o_flag=on ipv6 lan1 dhcp service server ipv6 onu1 dhcp service client ir=on tunnel select 1 tunnel encapsulation ipip tunnel endpoint name gw.transix.jp fqdn tunnel enable 1 dhcp service server dhcp server rfc2131 compliant except remain-silent dhcp scope 1 192.168.100.2-192.168.100.191/24 dns server dhcp onu1
■設定のポイント
ヤマハの設定例にあるlan2というインターフェースですが、これはRTX1210を利用した場合の指定になります。NVR510で小型ONUを利用する場合は、onu1と指定します。
ヤマハの設定例では、Tunnelインターフェースの設定で”AFTRのアドレス”を指定するよう記載があります。 NVR510の場合、ファームウェアのバージョンがRev.15.01.09以降であれば、tunnel endpoint nameコマンドが使用可能です。IIJmioひかり(インターネットマルチフィードのtransixサービス) を利用している場合は、tunnel endpoint name gw.transix.jpと設定することができます。
導入後の効果
IPoE導入の効果は劇的で、600Mbpsに迫るスループットを達成しました(LANケーブル接続時)。iPhoneやAndroidタブレット利用時は、Wi-Fiがボトルネックとなったのか200Mbps前後でした。充分満足のいく結果となりましたが、将来的にはWi-Fi 6も導入したいと思います。
IPoE速い!
— komo (@kaname_networks) 2020年4月24日
■環境
ISP:IIJmioひかり
ルータ:NVR510
※有線(LANケーブル接続時) pic.twitter.com/BBuUi8znu0