AWS認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト受験記

先日、AWSAmazon Web Services)認定試験 ソリューションアーキテクト – アソシエイトを受検し、無事、スコア836点で合格することができましたので、受験記として使用した教材や勉強方法について紹介したいと思います。

受験の経緯

最近、TwitterなどのSNS上で、AWSの認定試験であるソリューションアーキテクト – アソシエイト(以下、AWS SAA)に関する記述を目にする事が多くなりました。

私自身はこれまで仕事でAWSを利用する機会は全くなかったのですが、お客様環境で部分的にAWSが利用される機会が増えてきているとの印象を持っていました。特にAWS習得の緊急度は高くなかったのですが、お客様環境の理解、そして自身の技術領域を広げる為にAWS SAA試験を受験する事に決めました。

なお、所属企業においては、私に限らず全社的に見ても業務としてAWSの導入を行った事例は未だないと思うのですが、業務システムのクラウド化という昨今の時流を踏まえてAWSは重点ソリューションとして位置付けられていました(従って、受験料は負担してもらえる)。

AWS認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト試験の概要

AWS認定試験体系におけるAWS SAAの位置付けは下図の通りです。

ソリューションアーキテクトのアソシエイトレベルの試験であり、推奨される知識・経験として”AWSにおけるクラウドの実装と問題解決に関わる1年以上の実務経験”を想定しているようです。

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AWS Certification Current Roadmap

そもそも、ソリューションアーキテクトとはどうゆうものなのかについては、AWS SAAの試験ガイドの以下の記述が参考になると思います。

AWS 認定ソリューションアーキテクト - アソシエイト」(SAA-C01) 試験は、ソリューションアーキテクトロールを遂行する人を対象としており、AWS 上でセキュアかつ堅牢なアプリケーションを設計および展開する方法についての理解度を評価するものです。

この試験で評価する能力は次のとおりです。

・顧客の要件に基づき、アーキテクチャ設計原則に従ってソリューションを定義する。

・プロジェクトのライフサイクル全体を通じて、ベストプラクティスに基づいた実装を行うためのガイダンスを提供する。

AWSの各種サービスの仕様・特徴を踏まえて、お客様の要件に合わせてベストプラクティスに基づいたソリューションを設計する人、という理解で良いかと思います。

使用教材・勉強方法

1.AWS認定資格試験テキスト AWS認定 ソリューションアーキテクト-アソシエイト

AWS認定資格試験テキスト AWS認定 ソリューションアーキテクト-アソシエイト

AWS認定資格試験テキスト AWS認定 ソリューションアーキテクト-アソシエイト

徹底攻略 AWS認定 ソリューションアーキテクト ? アソシエイト教科書

徹底攻略 AWS認定 ソリューションアーキテクト ? アソシエイト教科書

AWSについてゼロから勉強するにあたり、体系的に学習したいと思い、AWS SAA用の参考書を利用しました。主要なサービスについての機能・仕様・特徴などが体系的にまとめられており、まずは最初のステップとして利用するとよいと思います。

私はSBクリエイティブから出版された参考書を利用しましたが、特にこれを推奨するつもりはなく、同様の書籍はインプレスからも出ているので、どちらか自分に合う方を選べばよいと思います。

なお、AWS SAAは2018年2月に試験内容が改訂されています。参考書を選ぶにあたっては、新試験へ対応しているものを選びましょう。

2.AWS Black Belt Online Seminar / AWS サービス別資料

上記参考書では紙面の都合もあり、十分な説明がなされておらず理解が難しいという状況が何度かありました。情報を補うためによく利用したのが、AWS Black Belt Online Seminarの資料です。上記ページにプレゼンテーション資料が掲載されており、必要に応じて参照して理解の一助としました。

なお、AWSではそのほかにもユーザーガイドやホワイトペーパー、よくある質問などが用意されており、日本語の資料がとても充実しています。ただ、これらの資料に目を通していると時間がいくらあっても足りません。今回はアソシエイトレベルの試験であることから、必要以上に仕様を追求せずに自分の中で腑に落ちる程度の理解を目指しました。

3.QWIKLABS Solutions Architect - Associate

QWIKLABSというサイトで、AWS SAA取得に向けて7つのハンズオンラボをまとめたコースが用意されていました。このハンズオンラボは試験合格に向けた勉強としては必須ではありませんが、全くAWSの経験がなかった為、理解を深める為に利用しました。

準備されている7つのハンズオンラボは以下の通りです。

  • Introduction to AWS Identity and Access Management (IAM)
  • Working with Elastic Load Balancing
  • Working with Amazon Elastic Block Store (EBS)
  • Introduction to Amazon EC2
  • Caching Static Files with Amazon CloudFront
  • Creating an Amazon Virtual Private Cloud (VPC) with AWS CloudFormation
  • Building Your First Amazon Virtual Private Cloud (VPC)

残念ながら無料ではありません。7つ全てのコースを受講するには29クレジットがかかります(1クレジット=$1)。

4.AWS認定 - 試験対策 「ソリューションアーキテクト - アソシエイト」

ちょうど試験勉強を始めた頃に、AWS Innovate Online ConferenceというイベントがWeb上で開催されていました(2019年4月8日~2019年5月7日)。その中のコンテンツの一つとして、”AWS 認定 - 試験対策 「ソリューションアーキテクト - アソシエイト」”というセッションがあったので、その講演資料を教材として利用しました。

5.AWS提供 - 模擬試験

勉強を進めるにつれて、想像よりもサービスが多く且つそれぞれ複雑で、このままでは試験合格も難しいのではないかと不安になり、少しでも情報を集めたくてAWSが提供している模擬試験を受験しました。

試験を終えて

試験勉強を始める前は、AWS仮想マシンを提供するIaaSという程度の認識でいた為、こんなにも多様なサービスが展開されているとは思いもよりませんでした。

ネットワークエンジニアとしてキャリアを積んできた私にとって、VPC・EC2・ストレージ・運用支援・セキュリティまではなんとか理解することができたのですが、その他のサービス、特にデータベースやプロビジョニングサービスについては動作・仕様を理解するのにとても苦労しました。前述のAWS Black Belt Online Seminarのプレゼンテーション資料を参考に、動作・仕様の理解に努めました

勉強期間は1か月ほどで受験しましたが、十分に納得いくまでの理解を目指すのであれば、最低、2か月は必要だと感じました。

可能であればAWSが提供している模擬試験は受験された方が良いと思います。

本試験で重視されているのは、AWS Well-Architected Frameworkが謳う所の「運用の優秀性」「セキュリティ」「信頼性」「パフォーマンス効率」「コスト最適化」の5つの観点について、ベストプラクティスに沿ったソリューションを提供できるか、という点にあるかと思います。模擬試験をはじめなるべく多くの問題に触れる事により、ベストプラクティスに沿った考え方を学び身に付けることが大事だと思います。

AWS SAA試験は、当然のことながらAWS固有のサービスについての試験になる訳ですが、根底の考え方はAWSに限定されない普遍的なアーキテクチャ設計概念であると感じました。これからも時代の趨勢として、企業システムのクラウドの活用は進んでいくと思います。AWS SAAは、クラウドを活用したシステムアーキテクチャの基本的な考え方を学ぶのに、ちょうど良い入口となる試験だと思いました。